TINTED LINES
石野郁和
¥4,500 (+tax)
サイン本発送中
この度、ロサンゼルスを拠点とする石野郁和の写真集『TINTED LINES』を刊行いたします。石野は、2017年にMACKから『rowing a tetrapod』を刊行し、2019年には東京都写真美術館で開催された「小さいながらもたしかなこと日本の新進作家 vol.15」に参加するなど、視覚や言語による認識の揺らぎを用いて、さまざまなヒエラルキーを再考する写真作品を発表してきました。「TINTED LINES」は、ロサンゼルスを歩きながら、場所や物事が区切られ、分断されるさまざまなシーンを切り取ることで、新たな視覚言語を生み出しています。見えるものも見えないものも含めて場所を分かつ線、その線が引かれた空間を跨ぐと監視、分類化された社会構造の層が浮き上がり、高級住宅街、再開発地区、公共施設、美術館、郊外、民族や人種によって区切られている地域で、領域や所有権のせめぎ合いが行われています。石野は、身体を使って移動することは境界線を引き直す行為だと捉え、写真でその過程を記録し、構図、光、シークエンスによって、固定化した空間の輪郭を滲ませようと試みます。
写真集は黒を基調とし、まるで映画のワンシーンが流れるように、淡々とイメージの断片がシークエンスとして刻まれています。巻末にはアマンダ・マドックスによる様々な文献から引用によって繋がれた散文のようなテキストが入り、この写真集のコンセプトを体現する世界観を生み出します。また、造本ではビニールカバーに一冊一冊ステッカーが作家の手によって加工され、ディテールまでコンセプトを貫いた本書は、アートピースとしての存在を放ちます。イデオロギーや記号の縫われた線を濁し、内と外の関係性を曖昧にした時、私たちの視点や解釈はどのように揺れ動くのでしょうか?石野の新作を本というプラットフォームを通して体験してみてください。
2021年3月23日(火)~4月18日(日)
石野郁和「TINTED LINES」
POST 11:00 – 19:00 月曜休み
展覧会に合わせて作家も来日します。
仕様:272 x 230 mm/コデックス装、ビニールカバー/128P
*カバーに一点一点異なる位置にシールが加工されています。
執筆:アマンダ・マドックス(J・ポール・ゲティ美術館 アソシエイトキュレーター)
言語:日本語/英語
定価:4,500円+税
発行:torch press
ISBN:978-4-907562-28-1 C0072
発行年:2021
プリント付きスペシャルエディション
オリジナルプリント(プリントサイズ216×279mm、絵柄2種より選べます)、作品集、特装箱入り、各エディション15
定価:25,000円+税
石野郁和(Fumi Ishino)
1984年、兵庫県生まれ。2012年、ロチェスター工科大学卒業。2014年、イェール大学大学院修了。現在ロサンゼルスを拠点とする。2015年、「ジャパンフォトアワード2015」受賞、「キヤノン写真新世紀」佳作。Fraenkel Gallery、FLAG Art Foundation、Houston Center for Photographyなどの展覧会に参加している。2017年に初写真集『Rowing a Tetrapod』(MACK)を刊行。2019年に東京都写真美術館で開催された「小さいながらもたしかなこと日本の新進作家 vol.15」展に参加。2021年に私家版『Index of Fillers』をAssemblyとの共作で出版、またtorch pressより『TINTED LINES』を刊行。
http://fumiishino.com/